幼稚園・小学校教諭を保育士に活用 厚労省が規制緩和案
厚生労働省は16日、幼稚園や小学校の教諭が保育士として働けるように規制を緩和する案を同省の検討会に示した。保育所にいる子どもの数が少ない朝夕の時間帯は保育士を1人に減らせるように配置基準を緩和することも提案した。両案に強い反対意見はなく、同省は年内に緩和策をまとめる。省令を改正し、来年度から認可保育所などでの適用を目指す。
現在、保育所で子どもを保育できるのは、保育士や看護師などに限られる。これを新たに幼稚園や小学校の教諭でも保育できるようにして、深刻な保育士不足に対応する考えだ。
ただ授乳やおむつ交換は保育士以外が担うのは難しい。このため幼稚園教諭に3~5歳児、小学校教諭には5歳児を保育させる計画だ。教諭の活用で幼・保・小が接続して保育や教育を提供する効果も期待できる。
厚労省は常に2人以上の保育士の配置を義務づけている現行の基準について、子どもが少ない朝夕に限って緩和する案も示した。
保育士1人に加え、自治体の研修を受講した保育ママや子育て支援員などの保育業務経験者で運営できるようにする。今年度も特例措置で認めていたが、来年度以降は正式な基準にする方向で調整する。
保育士の有効求人倍率は9月時点で全国が1.85倍、東京は5.44倍といずれも前年同月を上回る状態になっている。政府は2017年度末までに待機児童ゼロを目指しているが、保育所を整備するのに合わせて保育士の人数を確保できるかが大きな課題だ。