広島の老舗料亭「かき船」、移転費用をネットで調達
広島の老舗カキ料理店、かなわ(広島市)は広島市中心部の元安川にある主力店舗「かき船」の移転費用に充てるため、インターネットを通じて広く小口で資金を集める「クラウドファンディング」を始めた。かなわは資金の調達方法を多様化し、ファンド募集を通じて店舗のファンを開拓したい考え。
出資者は食事券などの特典のほか、移転後の店舗売り上げが増えれば分配金を得る。逆に目標を下回れば分配金が出資額を下回る可能性もある。
ファンド運営を手掛けるミュージックセキュリティーズ(東京・千代田)のサービスを使う。1口3万円で210口(総額630万円)を募集する。出資者は別途1口1710円の手数料が要る。募集期間は10月末まで。出資者には1口につき1万円の食事券や冬の鍋セットなどが選べる特典を送る。
秋までの開業を目指しており、ファンド運営は開業翌月から3年間の計画。かき船の売り上げ実績は2015年3月期に約1億6700万円の見込みで、移転後の3年目に年間で約2億6100万円に伸ばすのが目標だ。
かき船は現在の位置から400メートル上流へ移転する計画。移転後の場所が世界遺産の原爆ドームに近いとして、移転に反対する市民グループがいる。国や広島市など行政は問題ないとしている。