新規電力の登録開始 小売り自由化、初日は24社が申請
経済産業省は3日、来年4月の電力小売り全面自由化以降の電気販売に必要となる「小売電気事業者」の登録に向けた手続きを始めた。この日は新電力のエネットやイーレックス、昭和シェル石油など24社が申請。今後も異業種の申請が続く見通しで、来春に開放される総額8兆円の小売市場の争奪戦が本格化してきた。
経産省は事業者の電力確保に向けた計画や顧客への対応体制などをチェックし、登録の是非を審査する。審査には1カ月ほどかかるという。
既存の電力会社から新規事業者への契約切り替えに向けた手続きは来年1月に始まる予定。新規事業者は大手電力が申請した送配電網の使用料金(託送料金)などを基に、年内にも料金プランやサービスなどを固めるとみられる。
経産省は営業活動のルールづくりを進めており、事業者に料金の算定方法や契約解除の手順などを顧客に明確に示すように求める。違反した場合は事業を認めない方針で、顧客に不利益が出ないようにする。
全面自由化に備え、大手電力は異業種と提携して顧客の囲い込みを進めている。電気とガス、通信などのセット割引のほか、電気料金支払いへのポイント付与などが検討されており、消費者は料金メニューを選ぶ新たな選択肢が増えそうだ。
経産省はこの日、電力10社の2015年3月期決算で、企業向けの「自由化部門」と家庭向けの「規制部門」に分けた損益を発表した。自由化部門では関西電力が1131億円、九州電力が815億円、北海道電力は179億円の赤字だった。燃料費上昇に加え、新電力との競争が激化していることが要因とみられる。