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エネルギー版グラミン銀行、バングラ200万世帯電化へ

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日経BPクリーンテック研究所

エネルギー安全保障やエネルギーの強靭性(リジリエンシー)、エネルギー貧困、持続可能性などについて、今後もアジア太平洋域内で経済協力を継続していく――。2015年10月12日から2日あまり、フィリピンのセブ島で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)のエネルギー大臣会合(EMM12)では域内で直面するエネルギー問題について議論が交わされた。

同会合はAPEC加盟21カ国のエネルギー担当閣僚や行政官、国際エネルギー機関(IEA)の専門家らが一堂に会し、域内のエネルギーに関する課題や活用、技術や貿易、投資など様々な論点で議論を繰り広げた。例年と同様、会合の最後に全加盟地域が合意した共同声明が採択され、閉幕した(図1)。

主な議題は、エネルギー強靭性の世界的課題、エネルギー貧困地域におけるクリーンエネルギーの活用促進、最先端の省エネ技術による持続可能性、エネルギーの貿易や投資における民間セクターの参画拡大――の4つだ。各テーマを表現するキーワードには毎年若干の変化がみられるものの、各テーマの大枠自体は1996年にEMMが開始されたときとほぼ同じである。一方で、閣僚がマイクログリッドの活用に言及するなど、新技術の導入やイノベーションにつながる萌芽も見られた。

フィリピンが示唆する東南アジアのエネルギーミックス

今回APECの開催地となっているフィリピンは、東南アジアにおけるエネルギーミックスの縮図とも言えそうだ(図2)。現在、同国のエネルギーミックスでは水力が約20%、世界第4位のポテンシャルをうまく活用した地熱の割合が10%といずれも高いのが特徴だ。これらによって、再生可能エネルギーを合計した比率は約30%。エネルギー全体に占める再エネの割合は現時点では比較的高い。

2014年7月に人口が1億人を突破したとされるフィリピンでは、過去3年間の経済成長率が6~7%と比較的高い状況が続いている。これを受けて電力需要も増大の一途をたどっているが、まだ供給が追い付いていない。特に、電力系統が脆弱な地方や遠隔地では、現在でも停電の発生が珍しくないという。

このため発電所の建設や系統網の増強が進められており、電源容量は今後5GW以上増加すると見られる。2015年6月時点で建設中の電源構成を見てみると、その75%を化石燃料で温暖化ガス排出量が最も多い石炭火力が占めている。残りの内訳は、天然ガスが15%、再エネが10%である。

エネルギーを使う消費者と供給する事業者のいずれも、電力がどのように作られるかといった部分まで考える余裕がまだないのが現状だろう。ただ、これは従来の大規模な集中型電源や、上流から下流へと電気が伝達される系統網の構成を前提とした電力供給の場合である。小規模な分散型電源を系統網の有無によらずに導入することを考えれば、より理想的なエネルギーミックスを達成できる可能性が高くなりそうだ。

実際に、今回のAPEC EMMでもマイクログリッドの導入について言及があった。EMMでテーマとなっている持続可能性や強靭性、地域ごとのエネルギー活用といった観点で考えると、そのいずれもマイクログリッド技術の導入によって実現できることばかりである。

もう一つのテーマとなった民間セクターの参画については、制度設計やビジネスモデルにおける工夫がカギを握ると言えそうだ。これについては、マイクログリッドよりさらに小規模なオフグリッドに近いレベルで、系統網がまだない場所でも電気が使えるようにする取り組みの事例がアジアやアフリカで出始めている。

「エネルギー版グラミン銀行」で電化推進

この分野で最も先駆的な事例は、バングラデシュの「グラミン・シャクティ(Grameen Shakti)」だろう。グラミン・シャクティは、ユニークなマイクロファイナンス手法により貧困層の経済的な自立を支援することで一躍脚光を浴びたグラミン銀行によるエネルギーへの取り組み。いわば「エネルギー版のグラミン銀行」である。

グラミン・シャクティでは、太陽光発電パネルと蓄電池をセットにして、夜間や雨天時でもランプによる照明や携帯電話の充電などが行えるようにした(図3)。支払いパターンを4種類設定し、最長42カ月をかけて設備の費用を支払うことが可能となっている。

これにより、電力網インフラがない地域の低所得層でも、その多くが電気を使うことができるようになった。グラミン・シャクティ公式サイトのデータによると、2014年までに150万世帯以上が同サービスによって太陽光発電設備を導入し、電気が使えることが分かる(図4)。2016年までに200万世帯への導入を目指している。

アフリカでは、「Umeme kwa Wote(Light for All)」というプロジェクト事例がスタートしている。独シーメンス系列の照明機器メーカーであるオスラム(OSRAM)と太陽電池メーカー大手の独ソーラーワールド(SolarWorld)が中心となり、2008年4月から2010年10月までケニアのビクトリア湖周辺で実施された。

このプロジェクトでは、ビクトリア湖および周辺地域の漁師が夜間に漁で使用する灯油ランプを、太陽光で充電した電灯「O-LAMP」で置き換えることが目的だった。これにより、灯油による湖の水質汚濁という環境問題が大幅に改善され、漁師の燃料コストが約40%節約されるなどの効果が上がったという。その後、参加企業の入れ替わりがあったものの、プロジェクト自体は継続され、現在もO-LAMPや太陽光発電システムが利用されている模様である。

最近の事例では、東京大学のスピンオフ・ベンチャーであるDigital Grid Solutions(デジタルグリッド・ソリューションズ)がアフリカ東部で展開する「WASSHA(ワッシャ)」プロジェクト、世界銀行が4億ドルの無利子融資を行うミャンマーの電化計画「National Electrification Plan(NEP)」における遠隔地域への電力供給なども、オフグリッドまたはナノグリッドといった小規模な分散電源をベースとしている。

島しょ地域は分散電源が効果的

いずれの事例も、技術的には太陽光発電パネルと蓄電池を組み合わせたシンプルなもので、技術面では大きな差はない。プロジェクト、そして電化が成功するためには、初期費用の調達や利用者の支払い方法に対する配慮、利用者層を拡大するためのマーケティングといった、ソフト面や仕組みづくりがカギとなっている。

また、ミャンマーのNEPのように、都市部では系統網を増強しつつ、地方や遠隔地などでは分散電源に基づくオフグリッドやナノグリッド、マイクログリッドを導入するといった「いいとこ取り」をAPEC域内でも取り入れる余地がありそうだ。

今回のAPECの開催地となったフィリピンに加えて、インドネシアやパプアニューギニアなどでは島しょ地域が多く、太陽光を中心とした分散電源の導入がより効果的、現実的と言えるだろう。

(テクノアソシエーツ 大場淳一)

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