ロシア、人民元建て国債発行を表明 中国マネー呼び込み狙う
【モスクワ=古川英治】ロシア中央銀行は6日、2016年に人民元建てで国債を発行すると表明した。人民元を巡っては韓国が中国での元建て韓国国債発行で合意したほか、英国では中国が元建て国債を発行する準備に入るなど活用が広がっている。ロシアはウクライナへの軍事介入を巡る欧米の制裁で資金調達が困難になっており、元建て国債発行を通じ中国マネーの呼び込みを狙う。
ロシア中銀のシュベツォフ第1副総裁が最低10億ドル規模の人民元建て国債を発行すると述べた。今後、中ロ当局間で調整を進め、16年半ばの発行を目指す。ロシア財務省高官は同日、同国のメディアに対し、モスクワ取引所で人民元建て国債の取引を始める計画も明らかにした。中国側からの発表はない。
ロシアのプーチン大統領はかねて中国の習近平国家主席との会談で、中国からロシアへの投資の規制緩和など、金融面での協力を働きかけてきた。ロシアの国営銀行やエネルギー企業などを標的にした欧米の金融制裁を受け、欧米市場での資金調達が困難になったためだ。ロシア企業の間では貿易決済をドル建てから人民元建てに切り替える動きも出ている。
中ロ首脳は今月開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に会談する見通しで、その場で人民元の利用について合意する可能性がある。
米欧の制裁に原油安が加わりロシアは不況に見舞われた。輸出の6割程度を占める原油・天然ガスの価格急落で景気の先行きが見通せなくなり、政府は通常3カ年計画で出す予算案を16年は単年で示した。ロシアは金融面でも中国への依存を強めつつある。