ダム放流を調節でも決壊 鬼怒川、国交省「加減難しい」
鬼怒川の上流にある4つのダムを管理する国土交通省は台風18号の影響による大雨で下流が氾濫しないよう、9日午後以降に放流量の調節を始めていた。しかし茨城県常総市での堤防決壊を防ぐことはできなかった。担当者は「下流の水位上昇を抑える効果はあったはずだが、調節の加減は非常に難しい」と話した。
国交省によると、鬼怒川上流で同省が管理するのは、川治ダム、川俣ダム、五十里ダム、湯西川ダム(いずれも栃木県日光市)の4つ。
9日午後0時40分から午後8時5分にかけて、放流量を減らして水をためる「洪水調節」を各ダムで実施した。事前に放流し、ダムの空き容量を確保していた。
下流の常総市で堤防が決壊したのは10日午後0時50分ごろ。各ダムは同日午後2時の時点で、総容量の約7割までを上限として水をためていた。
「もっと放流量を減らし、ダムの容量を最大限使っていれば決壊を防げたのでは」との疑問も湧くが、国交省は「長時間降り続く雨に対処するため、ダムに余力を持たせようとしていた」と説明する。決壊後はさらなる被害を食い止めようと、容量をほぼ全て使う方針に切り替えたという。〔共同〕