関電、首都圏進出へ布石 東京ガスと提携、LNGの相互融通など
関西電力と東京ガスは11日、液化天然ガス(LNG)の相互融通とLNG火力発電所の運転・保守についての業務提携を正式に発表した。関電は首都圏での火力発電所建設など電源開発も今後両社で検討すると表明。4月に始まった電力、来春のガスの小売り全面自由化に対応し東ガスと連携を深め、競争力強化の足がかりとしたい考えだ。
「ガスにしろ電気にしろ進展する。自由化でますますエリア・業種の垣根を越えていく。1社でなんでもやるのは無理」。11日午後に開かれた関電本社内の会見で、津田雅彦総合企画本部事務局長代理はこう強調した。
今回提携合意したLNGの相互融通。関電側は夏の電力需給逼迫時など、緊急にLNGが必要になった際に東ガス側から融通を受けられれば、国際市場で購入するよりも早く安定した価格で調達できる。また東ガス側も需要が大きくなる冬に同様の融通を関電側から受けられる。
両社が共同契約するLNG権益はオーストラリア・イクシスなど3カ所。双方が個別に契約や参画をしたプロジェクトは米国などの6カ所に上る。発電所の技術や人材育成の提携では、保守整備コストの低減を狙う。
関電にとって今回の提携は首都圏での電力小売りやガス市場参入への布石だ。首都圏での新たなLNG火力発電所の建設構想に関してある関電幹部は「小売りには自前の電源を持っていた方が強みになる」と話す。東京電力と中部電力の提携などエネルギー市場では地域や業界を超えた競争が激しさを増しているだけに、関電は東ガスとの提携をさらに発展させたい意向だ。