「日本の原発再稼働は正しい」　IEA事務局長に聞く

国際エネルギー機関（IEA）のファティ・ビロル事務局長にエネルギー市場について聞いた。

――日本での原子力発電所の再稼働をどうみていますか。

「1バレル50ドル前後の（低めの）原油価格が長く続く可能性は低く、日本などの輸入国は過度に楽観しない方がよい。日本が原発再稼働に動いていることはエネルギー政策として正しい。再生可能エネルギーの普及支援や、エネルギー効率改善によるバランスのよい政策が日本には求められる」

――独フォルクスワーゲンの排ガス不正の問題はどう影響しますか。

「フランスではすでにディーゼル車に対する税額控除を削減する方針を決め、ほかの欧州諸国でも同様な動きが広がるだろう。ディーゼル車は欧州やインドで多く使われている。今後はこうした地域で排ガス試験がより厳格になり、規制の基準も強化されるだろう」

――中国の成長減速はどのように響きますか。

「中国のエネルギー需要の鈍化には、それも影響するが、ほかにも2つの重要な要因がある。一つは、エネルギー効率の大幅な改善で、単位あたりの生産に使う電力量が過去20年で8割低下したこと。さらに、水力や太陽光など再生可能エネルギーによる発電が普及し、エネルギー源が多様化し始めていることだ」

（聞き手はロンドン=黄田和宏）