落雷でも壊れない樹脂、山形大など開発 炭素繊維強化
山形大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、三菱樹脂などの産官学の共同研究グループは8日までに、落雷に遭っても損傷しない炭素繊維強化樹脂を開発したと発表した。電気を逃す性質を持たせた。航空機や自動車などの構造材料として、5年後をめどに実用化を目指す。
プラスチックに炭素繊維を混ぜて強化した従来の炭素化樹脂は、通常は電気を通さない。このため落雷箇所が焼け焦げたり、大きな穴が開いたりすることがある。
研究グループは、電気を通す導電性樹脂で、常温では液体だが熱をかけると固まる性質を持つものを新たに開発。炭素繊維を並べた隙間にこの樹脂を流しこみ、導電性の強化樹脂を作った。
1万ボルトの電圧をかけると従来の強化樹脂は焼け焦げる一方、新開発の樹脂は全体に電気が流れ、ほとんど損傷しなかったという。
強化樹脂は、航空機や自動車を軽量化し、燃費を改善する構造材料として利用が広がりつつある。樹脂の表面を金属メッシュで覆うなどの落雷対策が取られているが、製造コストの増大を招いていた。新開発の樹脂は強度向上が課題だが、量産化すれば一般的な強化樹脂より製造コストを減らせる見通しという。