北電、泊原発の安全対策に2000億円超 8年間で
北海道電力は24日、泊原子力発電所(泊村)の再稼働に向けた安全対策に2011年度から18年度までの8年間で2000億~2500億円を投じると発表した。原子力規制委員会の新規制基準に対応するため、従来計画より5割ほど増やす。11月を想定していた再稼働時期については、記者会見した真弓明彦社長が「かなり厳しい」と発言し、12年5月から続く停止期間が長引く見通しを示した。
15~18年度に600億円かかると見ていた投資額を1000億~1500億円に引き上げる。火災検知器の更新や消火活動用照明の設置など火災対策の対象地域を広げ、緊急時の指令所への電力供給の設備も拡充する。
これまでも投資額は逐次、引き上げてきた。13年春時点では15年度までの5年間で900億円とし、14年5月には期間を18年度までの8年間で1600億円としていた。
泊原発の再稼働を巡っては規制委の安全審査が続いている。最大の課題は、最大規模の地震による揺れの想定。泊原発が立地する積丹半島の地質について、波による浸食で生じた地形と主張する北電と、地震による隆起の可能性が否定できないとする規制委の議論が平行線をたどってきた。
揺れの想定が固まらないと地震対策に必要な工事内容が確定しない。規制委の議論で想定が引き上げられる可能性について、真弓社長は「(必要な投資額は)これ(揺れの想定)いかんだと思っている。どのくらいの幅になるか分からない」として上積みも示唆した。
14年11月の再値上げの際には、最大の揺れの想定が同年10月に固まると見込んでいたが、すでに半年遅れている。15年11月に見込んだ泊原発の再稼働については「大きく遅れないよう最大限努力したい」と話した。
15年3月期の連結最終損益は30億円の赤字と、4期連続の赤字となる見通し。日本政策投資銀行からの資本支援を受けるために14年7月に発行した500億円の優先株に対する年19億円の配当も見送り、支払いを来期以降に繰り延べた。配当額は20年3月期には27億円に膨らむ契約。早めに優先株を取得しないと配当負担も重くのしかかる。
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