首相、南シナ海での後方支援否定せず 衆院特別委
安倍晋三首相は28日の衆院平和安全法制特別委員会で、自衛隊による米軍などへの後方支援が可能となる「重要影響事態」の活動地域について、南シナ海を否定しなかった。名指しは避けたが、中国が進めている岩礁の埋め立てに言及した。
維新の党の江田憲司氏が「マラッカ海峡か、南シナ海か、インド洋か」と活動地域をただした。首相は「個別具体的なことを言うのは差し控えたいが、南シナ海である国が埋め立てをしている」と答弁。「様々な出来事が起きている中で具体的に法律の対象にするかは言及を控えるが、可能性があれば法律を使えるようにする」と述べた。
南シナ海では中国が大規模な埋め立てを進め、フィリピンやベトナムなど沿岸国と対立している。
民主党の緒方林太郎氏は南シナ海のシーレーン(海上交通路)に機雷が敷設された場合、自衛隊による掃海活動はあるのかと質問した。首相は「迂回路が様々あり得る」と否定的見解を示した。
他国領域での武力行使「海外派兵」を巡り、首相は「念頭にあるのは中東のホルムズ海峡が封鎖された場合の機雷掃海だけだ。受動的、限定的に行う」と重ねて強調した。海外派兵は一般に自衛の必要最小限度を超えるため憲法上許されない、というのが政府の立場。ホルムズ海峡での機雷掃海はその例外となる。
首相は「近年、機雷掃海から戦闘に発展した例はない」と説明。ホルムズ海峡での機雷掃海以外の海外派兵を問われると「安全保障でこれがすべてだと言うのは差し控えた方がいい」と語った。
横畠裕介内閣法制局長官は、他国での機雷掃海が認められる条件として「機雷の敷設が海上封鎖に匹敵するような我が国への武力攻撃であり、放置しては国民の生死にかかわるような深刻、重大な被害が生じる」場合との見解を示した。民主党の辻元清美氏への答弁。