帝人、1分成形の炭素繊維複合材で自動車試作
帝人は9日、静岡県裾野市で炭素繊維複合材を使った電気自動車の試作車を報道陣に公開した。最短で5~10分かかっていた成形時間を1分以下に短縮する新技術を活用。量産性に優れる点を自動車メーカーに訴え、採用を働きかける。
試作車は軽自動車サイズで、骨格に炭素繊維複合材を使い市販のモーターとリチウムイオン電池を搭載した。骨格の重量は47キログラムと鉄製の場合の5分の1で、2人で両端を持ち楽に動かせる。成形には熱を加えると固まる樹脂を使うのが一般的だが、今回は熱によって軟らかくなり冷えると固まる樹脂を活用し成形時間を短縮したという。
軽い炭素繊維複合材は燃費の大幅な向上につながるため航空機での採用が進んでいる。ただ価格が鉄の数十倍で、自動車ではスポーツカーや高級車の部品の一部の採用にとどまっている。量産車への導入には生産コストを大幅に引き下げる必要があり、成形時間の短縮は大きな課題の一つとなっている。
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