米新車販売、14年5.9%増の1652万台 8年ぶり高水準
【ラスベガス=杉本貴司】米調査会社オートデータが5日に発表した2014年通年の米新車販売台数は前年比5.9%増の1652万2000台で06年以来、8年ぶりの高水準となった。年後半にかけて進んだガソリン安の追い風を受けて需要が膨らんだ。15年も好調が続くとの見方が多いが、低金利に依存している面もあり、先行きに不透明感も残る。
12月の販売台数は前年同月比10.8%増。14年は1~2月に歴史的な寒波の影響で前年実績を下回った。だが年央からガソリン安の恩恵で大型車の販売が好調となり、12月に前年比の伸び率が2ケタに乗った。
米新車市場は09年を底に10年から4年連続で1割前後のペースで回復してきた。金融危機後に車を買い控えた人が再び車を購入し始めた影響が大きかった。14年はこの潜在需要が一巡したとして数%の成長率へと伸び悩むとみられた。
需要を後押ししたのはガソリン価格の急落だ。米エネルギー省によると、5日時点のレギュラーガソリンの全米平均価格は1ガロン(約3.8リットル)あたり2.214ドル。半年間で40%下落し、5年半ぶりの低水準となった。
販売台数 | シェア (%) | |
G M | 2,935,008(5.3) | 17.8 |
フォード | 2,471,315(▲0.6) | 15.0 |
ト ヨ タ | 2,373,771(6.2) | 14.4 |
クライスラー | 2,044,427(16.4) | 12.4 |
ホ ン ダ | 1,540,872(1.0) | 9.3 |
日 産 | 1,386,895(11.1) | 8.4 |
現 代 自 | 1,305,952(4.0) | 7.9 |
特に販売を伸ばしたのが大型車だ。14年の販売実績を車種別に分けると、小型車中心の「乗用車」が1.8%増にとどまったのに対し、SUV(多目的スポーツ車)など大型車の「小型トラック」は10.0%増えた。商品群が大型車にほぼ限られる米FCAUS(旧クライスラー)が16.4%増と大きく伸びた。
トヨタ自動車の販売台数は237万台と米国のゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターに次いで3位となった。日産自動車もSUVの新型「ローグ」などを米生産に切り替えたことが奏功し、2ケタ増とした。富士重工業も21.0%増で米年間販売が初めて50万台を超えた。
ホンダは154万台とリーマン・ショック前の07年につぐ高水準だった。12月は前年同月比1.5%増だった。
米新車市場は当面は好調が続くとみる関係者が多い。GMのチーフエコノミスト、ムスタファ・モハタレム氏は「15年も勢いが続き、14年を上回るだろう」と話す。英LMCオートモーティブは15年の見通しを01年以来の高水準となる1700万台とした。
ただ、歴史的な低金利を利用したローン販売への依存に不安が残る。需要がかさ上げされている面があり、金融政策の動向次第で販売の勢いが急激に鈍りかねない。