居酒屋、昼は学舎に NPOが高校中退者ら支援
不登校や高校中退者を支えようと、営業時間外の居酒屋店内を教室として活用するユニークな授業が東京都内で始まった。授業後には、店員による掃除指導もあり、場所の無償提供を受けたNPO法人「高卒支援会」の杉浦孝宣理事長は「実社会と直接つながる店員さんに接し、より社会性を身につけてもらいたい」と期待する。
授業の場を提供したのは大手飲食チェーン「養老乃滝」の東京・池袋南口店。NPO法人「日本フリースクール協会」によると、引きこもりや不登校の支援団体は運営が厳しく、特に施設の確保が難しいという。田中雄一事務局長は「家賃が払えず閉鎖したフリースクールもたくさんある。こうした企業が増えてくれれば、とても心強い」と話す。
「高卒支援会」は、いろんな理由で高校を辞めた子供をサポートしており、普段は東京都板橋区の教室で個別に学力指導している。19日の居酒屋での授業には、16、17歳の約10人が出席した。
テーブル席に着いた生徒たちは問題集を開き、和気あいあいと勉強に励んだ。女子生徒(16)は「お酒やたばこの臭いがするのかと思ったけど、想像していたよりきれいだった」と話していた。
文部科学省によると、高校の中退者は年間約5万人に上る。
会の教室が手狭となり、杉浦理事長が知人から紹介された「養老乃滝」の矢満田敏之社長に相談。午前9時から営業準備の始まる午後3時まで、宴会室を使わせてもらえることになったという。他の店舗での実施は未定だが、矢満田社長は「地域に育ててもらっている会社なので、恩返しのつもりです」としている。〔共同〕