段ボール製造の王子コンテナー、福島工場の生産能力を1.4倍に
段ボール製造・販売の王子コンテナー(東京・中央)は来年夏までに、福島工場(福島県伊達市)の段ボール箱の生産能力を現在の1.4倍に増強する。建屋を増築し、新たな生産ラインを設ける。東北では新たな工場立地が相次ぎ、農産物の出荷量も回復しつつあることから、段ボールの需要拡大が見込めると判断した。
現在の福島工場は敷地面積が約5万8千平方メートル。建屋の延べ床面積は1万5千平方メートル。10月に拡張工事を始め、操業を続けながら建屋を約3万9千平方メートルに増築する。
同工場の段ボール箱生産能力は現在、面積ベースで月間平均350万平方メートルだが、ライン増設で同500万平方メートルまで可能となる。箱の材料となる段ボールシートの生産能力も7割増える。同社によると、国内の段ボール工場では最大級の生産能力になるという。
段ボールの生産過程には2枚の紙の間に波打つ形状の「中芯」を挟んでシート状にする張り合わせ工程と、シートを切断・印刷して組み立て前の箱の状態にする製函(せいかん)工程がある。福島工場の現有設備は張り合わせが1ライン、製函が4ラインで、それぞれ1ラインを増設する。既存ラインも更新し加工精度などを高める。
投資総額は約65億円。一部は県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」を充てる。従業員は現在75人だが、15人程度を新規に雇用できる見通しという。
東北地方は東日本大震災後、立地補助金などの県や国の手厚い助成が呼び水となり、製造業の新規立地が相次いでいる。原子力発電所事故による風評被害で落ち込んだモモなどの青果物の出荷も回復基調にある。
王子コンテナーは製紙大手の王子ホールディングス傘下で、全国に26の段ボール工場を持つ。東北には福島、青森、宮城の各県に工場があるが、仙台工場は東日本大震災の津波被害が完全に復旧しておらず、福島工場が生産を一部肩代わりしている。
同社では「肩代わりが当面続くことに加え、道路網の結節点に位置する福島工場は東北一円への出荷に適していることもあり増強を決めた」と話している。
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