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ビル群の空調を自動調整 「機械学習」で効率よく

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日経アーキテクチュア

竹中工務店は日本マイクロソフトと提携し、クラウドサービスを活用した建物設備の運営・管理システムを構築した。

特徴は、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)」が備える機械学習(マシンラーニング)機能を活用することにより、建物設備から得られるビッグデータを分析し、人手を介さずに空調設備の温度設定や運転時間などを自動調整できること。

この機械学習の仕組みを1棟の建物だけでなく、管理下のビル群全体に展開する。これまで、人の経験に頼っていた建物設備の運営管理を省力化するのが狙いだ。

竹中工務店では、従来から建物内の設備機器のデータを集め、それをもとに最適な設備運転をする「ビルコミュニケーションシステム」(以下、ビルコミ)という独自のシステムを展開してきた。同社は、この独自システムをベースに、設備機器からのビッグデータを機械学習によって分析し、自動運転につなげるシステムの開発に取り組んできた。

建物にサーバーを置かない

同社情報エンジニアリング本部のデータセンターエンジニアリング担当の粕谷貴司氏は「仮に大型のサーバーを自前で用意し、機械学習による設備の自律運転を実現しようとすれば、数千万円の費用をかけてもできないかもしれない。その点、アジュールの利用料は従量課金制が基本なので、ビルの規模によっては月額数百円程度で運用できる可能性もある。加えて、ビル内にサーバーを設置する必要もなく、経費やスペースの大幅な削減につながる」と話す。

「実際に、アジュールを利用してWeb上で設備データの解析結果を扱ってみたが、統計処理の専門知識がなくても容易に把握できるし、操作も簡単だった。こうしたことを確認したうえで、当社のビルコミとマイクロソフトのクラウドサービスを連携することを決めた」(粕谷氏)

アジュールで自動分析した結果は、竹中工務店のビルコミを通して個々の建物にフィードバックし、空調や照明などを自動調整する。現在、竹中工務店の東京本店と技術研究所の設備機器のデータは、ビルコミを経由してマイクロソフトアジュールに送られている。

今後は、同社所有のテナントビルや、同社が施工した物件にも展開していく。さらに、クラウドサービスを提供するほかの企業とも連携し、新システムの機能をさらに拡充する考えだ。

(日経アーキテクチュア 小谷宏志)

[ケンプラッツ 2014年10月30日掲載]

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