世代間贈与普及に力、信託協会の常陰新会長 「資産移転促す」
信託協会の会長に9日就任した三井住友信託銀行の常陰均社長は日本経済新聞のインタビューで、子や孫への結婚・子育て資金を非課税とする制度を使った新商品について、「認知度向上に協会として取り組む」と語った。少子高齢化や高齢者への金融資産の偏りを踏まえ、「信託を使って世代間の資産移転を促す」考えを示した。
結婚・子育て資金の贈与が1000万円まで非課税になる制度を利用する信託商品は、三井住友信託など大手信託銀行が1日から取り扱いを始めた。信託業界では、教育資金贈与の非課税措置を活用した信託商品も残高を伸ばしている。商品群の充実で「孫を支援したい祖父母世代の多様なニーズに応えることができるようになった」。
「政府の成長戦略に沿った新たな信託商品も開発したい」と表明。信託の枠組みを活用して、地方創生や「貯蓄から投資」の促進につながる商品づくりに業界を挙げて取り組む意向も示した。地銀をはじめ地域金融機関と信託銀行が個人向け金融商品の供給で提携する動きにも触れ、「連携する余地は大きくなっている」と強調した。
9日の就任記者会見では「アジア諸国との連携を強化し、日本の信託制度の普及・促進に取り組む」と強調。制度の「輸出」などを進め「会員企業のアジアでの活動を後押ししたい」と語った。