LIXIL一時5%安 「リキャップCB」中身に失望
LIXILグループの株価が17日、一時前日比5%安に下落した。16日に新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行し、資金の一部を自社株買いにあてると発表した。この手法は「リキャップCB」と呼ばれ、実施企業の株価は上昇することが多かった。LIXILは調達資金と比べた自社株買いの規模の小ささなどへの失望から株式市場で売りが膨らんだ。
LIXILは17日、CB発行額1200億円の約17%にあたる200億円を自社株買いにあてた。今年度に「リキャップCB」を実施した他企業で、ヤマダ電機は調達額の5割を自社株買いにあて、カシオ計算機や塩野義製薬は調達額を上回る自社株買いを実施した。
自社株買いを除いた調達資金の使い道を巡り疑問の声が上がったのも株安につながった。残りの1000億円は、買収した独グローエが抱える負債の借り換えに使う。「負債の中身を入れ替えるだけで、利益成長の期待を持ちづらい」(松井証券の窪田朋一郎氏)との指摘があった。
東レの自社株買いは調達額の2割にとどまったが、残り800億円は成長分野の炭素繊維などの投資に振り向けるとし市場での評価につながった。LIXILも事業拡大に向けた買収戦略上の費用にあてるとみることもできるが、市場の反応は厳しかった。
これまで藤森義明社長は「新株発行を伴う資金調達はしない」と公言してきたが、CBは将来的には新株発行につながる可能性がある。「なぜ銀行借り入れや社債発行で対応しなかったのか」(モルガン・スタンレーMUFG証券の大室友良氏)との疑問もあった。
株価は2月に入り16日まで2割近く上昇していた。「今回の発表は当面の利益を確定する売りを出す単なるきっかけ」(カブドットコム証券の河合達憲氏)との見方もあった。17日終値は1%安の2679円と安値からは下げ渋った。