書店のポイントサービス、賢く使う
都内に住む会社員のAさん(39)は最近、近所の書店でポイントカードの利用を始めた。「定期購読する雑誌が増え、少しでも節約したい」という。
大手書店のポイントサービスは過去10年ほどで増え、今は主に4陣営(表)がある。会費などは無料。店頭ですぐカードが発行され、買い物の時に提示するとポイントがもらえる。インターネット上で個人情報の登録を求められる場合もある。最近は紙の本だけでなく、電子書籍をネットで購入する際にポイントがつく例も増えている。
ポイントは、購入額100円か200円(税抜き)につき1ポイント(1円に相当)たまる。一見あまり高くないが、ポイント交換サイトを運営するポイ探(東京都中央区)の菊地崇仁代表によれば、「各陣営とも使い勝手は向上しており、本好きなら持っておいて損はない」という。
例えば、本を買わなくてもポイントがもらえる場合が増えている。丸善、ジュンク堂(運営会社は丸善ジュンク堂書店)、それに文教堂で使える「honto」は、サイトの所定部分をクリックするだけでポイント取得が可能。さらに、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンを持って対象書店を訪れ、「チェックイン」という操作をするだけでもポイントがたまる。有効期限は購入時より短いが、無料でたまるのは魅力だ。
hontoはさらに今年、ネット経由の中古本買い取り時にもポイントがつくサービスも始めた。買い取り額を現金でもらうか、ポイントでもらうかを選ぶことができる。ポイントでもらう方を選ぶと、これとは別に買い取り額(税抜き)の10%分のポイントも加算される。買い取り額が1080円の場合、合計1180ポイントもらえる計算だ。
三省堂書店(東京都千代田区)の「クラブ三省堂ポイント」の場合、神保町本店周辺の提携飲食店で夕食時間帯にポイントがたまる例がある。TSUTAYAの「Tポイント」は共通ポイントと呼ばれ、利用対象は書籍に限らない。コンビニエンスストアや飲食店など幅広い提携店でポイントをためられる。
ポイントを優遇するケースも増えている。TSUTAYAは現在、月3~5日以上の利用実績があれば翌月のポイントは2~3倍だ。一部の店舗では本の購入が一定額を超えると「次回はポイント10倍」といったクーポンを渡すサービスも昨年から本格的に導入。2つの優遇は併用が可能なので、条件を満たせば、かなりのポイントになる。
紀伊国屋書店(東京都目黒区)のポイントは、誕生月に利用すると、100円あたり1ポイントを上乗せする。対象は従来、店頭のみだったが、昨年からネット通販と電子書籍も加えた。
特定ジャンルの書籍を対象にしたポイント優遇もある。三省堂は、18歳まで加入できる「ジュニアカード」で学習参考書を買う際、通常より高い率のポイントをもらえる。紀伊国屋の場合、洋書だと100円で5ポイントと通常の5倍たまる。ポイント優遇で今後の注目は電子書籍向け。各陣営とも期間限定などで、紙の本よりも電子書籍の方で優遇率を高める傾向がある。
さらにポイント獲得率を上げたいなら「異なるポイントの多重取りを狙う手がある」(菊地さん)。今回、紹介した4陣営はクレジットカードなどで払っても、書店ポイントは原則として現金決済と同じ率がたまる。クレジット決済によりカード会社からポイントをもらえる人なら、書店ポイントと2重にためられる。紀伊国屋書店は「Suica」など電子マネーの独自ポイントもためられる店が一部にある。「電子マネー入金時にクレジットカードを使ってポイントをため、決済時に電子マネーのポイントと書店ポイントをためる、『3重取り』も可能になる」(菊地さん)
それぞれ特徴がある書店ポイントだが、菊地さんは「より効率的にためるなら1つを集中的に利用するのがいい」と話す。自分の読書事情に合ったものを慎重に選びたい。
(堀大介)
[日経プラスワン2015年3月7日付]