7月鉱工業生産、0.6%低下 中国・アジア経済減速が影
経済産業省が31日発表した7月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み)速報値は97.7で、前月に比べ0.6%下がった。低下は2カ月ぶりとなる。中国向けのスマートフォン(スマホ)部品など電子部品・デバイスの生産が落ち込んだ。自動車など輸送機械や生産機械も低下した。中国やアジア経済の減速が製造業の生産に影を落としている。
前月発表した7月の生産予測(0.5%上昇)を1.1ポイント下回る弱い結果となった。中国やアジア向けの輸出が多い業種を中心に15業種中10業種の生産が低下した。生産の基調判断は「一進一退」に据え置いた。
8月の生産の予測は2.8%上昇、9月は1.7%低下を見込む。7~9月期の見通しは前期比0.6%上昇となる。8月上旬に企業の見通しを聞いたため、人民元の切り下げや金融市場の混乱は反映していない。
7月の電子部品・デバイスの生産は3.7%下がった。スマホに使う集積回路や電子部品の生産が落ち込んだ。8月は3.0%上昇、9月は7.2%上昇と回復を見込む。米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」の新製品向けの部品生産が本格化するためだ。アルプス電気はスマホのカメラレンズを制御する部品などを増産するために100億円の設備投資に踏み切る。
自動車など輸送機械の生産は1.4%下がり、在庫も6.2%減った。生産の予測は8月に2.5%上昇後、9月は5.1%低下を見込む。経産省は「引き続き生産調整が進む」とみている。
鉱工業全体で見た出荷指数は0.3%低下と2カ月ぶりに下がった。在庫も0.8%低下と2カ月ぶりに減った。
今後の鉱工業生産について、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「中国・天津の爆発事故もあり、下振れする公算が大きく、7~9月期は1%程度の減産になる」と話している。
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