東日本大震災の復興事業費、被災自治体負担も 復興相
竹下亘復興相は3日、東日本大震災の復興事業について「(国が費用を全額負担する現在の仕組みが)全部続くというのは難しいと思っている」と語った。国が丸抱えするこれまでの方針を改め2016年度以降は被災地の自治体にも一部の負担を求める考えを示唆した発言。予算の無駄遣いを防ぐ狙いだが、どこまで被災地に負担を求めるかの議論は曲折がありそうだ。
東日本大震災発生から11日で4年を迎えるのを前に日本経済新聞などのインタビューに応じた。
復興相は国が復興事業費を全額負担する措置については「異例中の異例、特例中の特例だ」と指摘した。1995年に起きた阪神大震災からの復興事業では、政府は被災自治体にも負担を求めていた経緯がある。
政府は11~15年度の5年間を震災からの「集中復興期間」と位置づけ、総額26.3兆円の復興予算を確保した。復興相は被災地の復興状況を「まだまだ途上」としつつも、被災者が入居する災害公営住宅の建設などは「着々と実施している。15年度末までには相当数が確保できる」と語った。
全体で10年間とされる復興期間の後半に必要な予算について岩手・宮城・福島の3県は総額8兆円超と主張している。竹下復興相は今夏までに16年度以降の復興財源を示したい考えだが、「国に余っているお金があるわけではない。財源の裏打ちをつくるのはそう簡単なことではない」と述べた。
政府内では災害公営住宅整備などでは国の全額負担を維持する一方、中小企業の施設復旧といった産業振興策で国の補助率を下げる検討を進めている。被災3県以外で実施する復興事業で補助率を下げる案もある。ただ国の支援を縮小すれば関係自治体は少なくとも数百億円規模の負担増となるとみられ、被災地から反発も出そうだ。
竹下復興相は「復興本体にかかわる事業は全額国費でやる意義が十分ある」とも指摘した。沿岸地域では津波被害が大きいほか、土地買収が難航して事業が遅れている自治体に配慮する。