GEのアルストム重電部門買収で詳細調査 欧州委
【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は23日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)による仏アルストムの重電部門の買収について競争法上の詳細調査に入ったと発表した。具体的にはガス発電などに用いられるガスタービン事業で競争相手が減るため「潜在的な懸念がある」と説明した。今後GEが買収計画の修正を迫られる可能性もある。
仏アルストムの重電部門については昨年、日米欧の企業を巻き込んだ争奪戦となり、仏政府も関与し、最終的にGEが提携先となった経緯がある。欧州委は23日の声明でGEによるアルストムのガスタービン市場の買収によって「主要な競争相手3社のうち1社が消える」と指摘した。特に欧州市場で使われている周波数のガスタービン市場ではシェアが50%程度になるという。
欧州委のベステアー欧州委員(競争政策担当)は「買収によって(製品の)価格上昇だけでなく、顧客の選択や技術革新も減る懸念がある」と強調した。欧州委は詳細調査を続け、7月8日までに最終判断する予定だ。欧州委は世界的な視点については米司法省とも協力していくとの方針も示した。