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パナマ拡張・スエズ複線化… 国際航路、大競争時代

編集委員 松尾博文

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 パナマ運河や北極海など、エネルギー資源を運ぶ新たな国際航路の競争が熱を帯びている。輸送日数を短縮する新航路の開拓は輸送費を抑え、新たな資源調達先の確保に道を開く。エネルギーコストの上昇に直面する日本には朗報だが、本格的な活用には課題も少なくない。

パナマ運河拡張、LNG輸送船が航行可能に

「2016年第1四半期にすべての工事が終わる」。昨年11月、都内で開かれたパナマ運河についてのセミナーで、同国のホルヘ・キハーノ運河庁長官は、拡張工事の完成時期をこう明言した。

「いつ完成するか心配だった」(東京ガス)「政府当局者がはっきり言ってくれてほっとした」(中部電力)。発言を聞いた電力やガス会社の担当者は胸をなで下ろした。

理由はシェールガスだ。電力、ガス会社や商社は16年にも米国で産出するシェールガスを加工してつくる液化天然ガス(LNG)を日本に持ち込む計画だ。米欧に比べ、割高なLNGを買う日本にとって、割安なシェールガスの輸入は硬直的なエネルギーの調達構造に風穴を開ける切り札と期待されている。そのためにはパナマ運河の拡張が不可欠なのだ。

パナマ運河は全長80キロメートル。大西洋と太平洋を結ぶ。米国東海岸とアジアを結ぶ物流の要だが、航行できる船の大きさに限りがある。大きさにほぼ制限がないスエズ運河に対抗するため、07年から拡張工事を進めている。

完成すればコンテナ船は容量で2.6倍、ばら積み船も重量で2倍以上の船が航行できるようになる。さらに拡張の目玉はこれまで通れなかったLNG輸送船が航行できるようになることだ。

喜望峰回り45日、パナマ経由なら25日に短縮

米東海岸からアフリカ南端の喜望峰を回って日本にLNGを運ぶには45日かかる。パナマ運河を通れば25日ですむ。

LNG船が1年間に日本と米国の間を往復できる回数が増える。燃料費や用船料も喜望峰回りやスエズ運河経由に比べて少なくてすみ、LNGの輸入コストを押し下げる。石油や石炭に比べ温暖化ガスの排出量が少ない天然ガスの利用拡大は環境対策上も重要だ。

海運会社にとっても米国産LNGの輸送は商機だ。商船三井の橋本剛常務は「米国産LNGの輸出には全体で60隻程度の輸送船が必要。そのうち、商船三井が15隻程度をとりたい」と意気込む。

だが、当初、14年の完成を目指していた工事は遅れ、関係者は米国からのLNGの輸出開始に間に合わないのではないかと気をもんでいた。

パナマ運河庁は1月、拡張後の運河の通行料金案も発表した。LNG船については、往復で運河を利用した場合の割引料金を設けるなど、シェール革命がもたらす輸送需要をにらんだ設定になっている。海運関係者は「アジア向けLNGの安定供給に一定の配慮が見られる点は評価できる」と語る。

ただし、これでLNG輸送のボトルネックが取り除かれたと安心はできない。料金については、「タグボートの経費や予約料金などが明らかになっておらず、これらを含めた費用の水準を注視することが必要だ」(エネルギー会社)。

北極海航路に異変 国際輸送14年は1隻のみ

毎年のように引き上げられてきたパナマ運河の通行料金は海運関係者の頭痛の種。原油価格の急落によって、原油に連動して値段が決まるアジアやオーストラリア産のLNGの価格も下がる見通しだ。米国産LNGとの価格差も縮まる。パナマ運河の通行料金の上昇は、米国産LNGの競争力を一段と奪うことになりかねない。

近年、欧州とアジアを結ぶ新たな資源輸送路として脚光を浴びる北極海。ここで異変が起きた。13年にこの航路を使ったエネルギーや鉱物資源などの国際輸送の実績は18隻。ところが14年は石炭を運んだ1隻にとどまったのだ。

北極海は気候変動によるとみられる海氷面の縮小によって、7月から11月の夏季には船舶が航行できるようになった。北極海を通れば、欧州と日本の輸送距離はスエズ運河経由に比べ、6割に短縮できる。アラビア海やマラッカ海峡で頻発する海賊の被害も防げる。

13年にはノルウェーから東京電力にLNGを運ぶなど、エネルギー輸送で3隻の日本向けの実績があった。ロシアの北極海沿岸ではLNGの生産・輸出事業も計画されている。LNGの調達先多角化を支える航路として期待を集めていたはずだった。

なぜ利用が落ち込んだのか。国土交通省の担当者は「中国での鉄鉱石などの需要の伸び悩み、原油価格の下落に伴う船舶燃料市況の軟化に加え、ウクライナ情勢をめぐる対ロシア制裁が影響した」と分析する。石油市場と地政学の変化が、新航路開拓の機運をそぐ形になっている。

スエズ運河、複線化工事 通過時間短縮へ

欧州とアジアを結ぶ輸送路で優位に立つスエズ運河だが、地位にあぐらをかいているだけではない。パナマ運河の拡張や、北極海航路の台頭に対応を急いでいる。

昨年11月、スエズ運河沿いのエジプトの都市、イスマイリアに、日本、エジプト両国の政府や企業関係者約200人が集まった。スエズ運河の拡張と運河の周辺開発事業を話し合うセミナーだ。

エジプト政府は一方向でしか航行できない運河について、一部区間に新たな水路をつくって複線化する工事を進めている。地中海から紅海に向かう船と、逆方向に向かう船がすれ違えるようにして運河の通過にかかる時間を短縮する狙いだ。

エジプトでは11年のムバラク政権崩壊後の経済低迷が続く。巨額資金を投じる運河拡張は経済対策の側面がある。スエズ運河収入は観光と並ぶエジプトの主要な歳入源だ。パナマ運河や北極海航路に対して競争力を高め、歳入を増やしたい思惑もある。

エジプト政府は運河の拡張に加え、港湾や物流施設、工業団地、輸出経済特区の整備など運河周辺の総合開発を計画する。物流の要衝としての地の利を産業の育成や雇用の創出にいかそうとの考えだ。

国際協力機構(JICA)がスエズ運河庁などと開いたセミナーには、「エジプトの国家事業に日本が強い関心を持っていることを伝える」(JICA中東第1課の斎藤光範課長)狙いがある。

ただ、エジプトでは民主化要求運動、いわゆる「アラブの春」後の混乱が続き、スエズ運河の東側にあたるシナイ半島ではイスラム過激派がテロを活発化させている。運河拡張の行方は、エジプトの政治と治安の安定が鍵を握る。

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