福島の汚染土、3月までに搬入開始 中間貯蔵施設着工
政府は3日、東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で出た汚染土を一時保管する中間貯蔵施設の整備工事に着手した。汚染土の処理問題は事故から4年近くを経て新たな段階を迎えた。ただ当面搬入できる汚染土は全体の1%に満たない。予定地の地権者との交渉も難航するなど、今後も不透明な情勢が続く。
政府は同日、建設予定地内にある双葉工業団地(福島県双葉町)と大熊東工業団地(同大熊町)での保管場の造成工事を報道陣に公開した。3月11日までの汚染土の搬入開始を目指すため、地元が搬入の前提条件とした安全協定の締結など5項目の対応も急ぐ。
まずは3日に着工した両町の保管場にそれぞれ1万立方メートルの汚染土を搬入する。ただ環境省が先月まとめた汚染土の輸送に関する計画では、約1年かけて県内43市町村の仮置き場から1000立方メートルずつ試験的に運び込む。中間貯蔵施設は最大で2200万立方メートル(東京ドーム18杯分)の汚染土を最長で30年保管する計画で、今回の保管場に搬入できる量はわずかだ。
用地取得には建設予定地の地権者との合意が必要だが、2000人を超える地権者に対し、用地補償などに関する説明ができたのは約半数にとどまる。環境省の藤塚哲朗・中間貯蔵施設等整備事務所長は「地元の理解がないと一歩も進まない」と話す。保管期限後の最終処分に関する政府内の議論も進んでいない。
中間貯蔵施設を巡っては、2013年12月に石原伸晃前環境相が福島県の佐藤雄平前知事らに受け入れを要請。政府は県や双葉、大熊両町に地域振興策などとして総額3010億円にわたる交付金の拠出などを決め、昨年8月に同意を取り付けた。だが地元との交渉が長引き、今年1月としていた搬入目標を先延ばしした。