高浜原発、安全審査に合格決定 川内に続き2例目
再稼働は今夏以降に
原子力規制委員会は12日、関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)について、再稼働に向けた合格証にあたる「審査書」を正式に決定した。安全審査を通過するのは九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に次いで2例目。再稼働は地元自治体の同意などを経て今夏以降になる見通しだ。
審査書は高浜3、4号機の地震・津波への備えや重大事故対策が新規制基準を満たしているかどうかを示した文書だ。規制委は昨年12月に審査書の案を公表し、約3600件の意見が寄せられた。内容は審査書案をほぼ踏襲し、高浜3、4号機は「新規制基準に適合する」と結論付けた。
関電は高浜3、4号機を襲う津波の想定を最大6.2メートルまで高めて防潮堤を設置。地震による揺れで最大級の想定も約2割引き上げて設備の耐震性を高めた。
政府は規制委の審査に合格した原発は稼働させる方針。再稼働には地元の同意が必要だが、手続きは時間がかかりそうだ。
高浜原発が立地する福井県高浜町の野瀬豊町長は「これまでの経緯を知っている議員で判断するのが適切」として4月の統一地方選前に手続きを進めたい考え。一方、西川一誠・福井県知事は詳細な安全対策を示す「工事計画」の認可も待ってから「全体として判断しなければいけない」と語り、手続きは統一選後になりそう。原発の30キロ圏に入る京都府や滋賀県は安全対策などに意見を表明していく考えだ。
高浜3、4号機は1985年に運転を開始し、両機とも87万キロワットの発電能力を持つ。東京電力福島第1原発事故を受けてそれぞれ2012年2月、11年7月に運転を止めた。関電は13年7月の新規制基準の施行と同時に高浜3、4号機の安全審査を申請した。
これまで11電力会社が14原発21基について再稼働に向けた安全審査を規制委に申請し、昨年9月に九電川内原発1、2号機が合格していた。
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