福祉施設で官民ファンド創設 東京都
東京都は2015年度に、高齢者施設や子育て支援施設の整備資金を供給する、100億円規模の官民ファンド創設に乗り出す。都の15年度予算原案に、ファンド新設のための出資金50億円を盛り込んだ。都の信用力を生かして投資家から幅広く資金を集め、金融機関の施設整備事業への融資を促す。
都内では高齢者施設や子育て施設が不足している。また、地価や建設費が他の道府県より高いので、福祉施設の運営会社が相対的に参入しにくい。そこでファンドを呼び水にして都内での福祉施設整備を促進する。都会計管理課によると、自治体が福祉施設整備のためにファンドを創設する事例は、全国でも珍しいという。
都会計管理課の担当者によると、ファンドは民間企業などが設立する特別目的会社(SPC)に出資する。サービス付き高齢者向け住宅のような高齢者施設や、保育所のような子育て支援施設のほかに、オフィスや賃貸住宅といった収益施設を一体的に整備する複合施設にも出資できるようにする。ファンドが投資する事業の規模はトータルで200億円程度を見込む。
詳細は今後、詰める。都が優先的に配当を受ける代わりに低利回りに抑え、他の投資家には高利回りで配当して民間からの投資を促す方策も検討する。
(日経アーキテクチュア 高市清治)
[ケンプラッツ 2015年1月29日掲載]