イチロー会見「球団のやたらに熱い思い伝わった」
米大リーグ、マーリンズと1年契約を結んだイチロー(41)が29日、東京都内で入団記者会見を開き、「球団のやたらに熱い思いが伝わってきた。選手として必要としてもらえることが僕にとっては何より大切」などと語った。会見とその後の取材での主な一問一答は以下の通り。
――新しいチームでスタートを切る心境は。
「まずは球団のやたらに熱い思いが伝わってきて、その思いに応えたいという気持ちが昨日、顔を合わせ、話をして大きく湧いてきた。(ヤンキースに在籍した)この2年間欲していたものはこれだったのではないかと思う。選手として必要としてもらえることは何よりも大切なもの、大きな原動力になっている。今、その思いに応えるための準備をしっかりすることに集中している」
――大リーグ通算3000安打まであと156本に迫っている。節目となる数字や記録の位置づけは。
「数字はもちろん大切なもの。これがなくては現役を続けられない。ただ、それがすべてではないことは、はっきりしている。節目の数字という目標があるからプレーを続けるのではない。人はわかりやすい目標を求める傾向にある。それは人それぞれで自由だが、僕自身はそれがすべてではないというスタンスでいる」
――背番号「51」にどういう思いがあるか。
「実は昨晩、ユニホームをいただいた。そのとき、背番号は『15』だった。どうしてかと考えたら米国では(自動車は)右側通行で、日本は左側を走る。その解釈もあるかと『15』を隠し持っている。(ヤンキース時代)背番号『31』をつけているときも、サインで『51』と書いてしまうことがあった。意識せず『51』と書けるのはうれしい」
――日本のファン、世界のファンに一言を。
「新しい場所に行って、新しいユニホームを着てプレーすることが決まったが、これからも応援してもらえる選手であるため、自分がやらなくてはいけないことを続けていく。この約束をメッセージとさせていただきたい」
――(第4の外野手として)出場機会が限られ厳しい環境になると予想される。最も大切にしている哲学は。
「野球選手にとって40歳はとても重要なポイントになる年齢だ。人として成熟する前に(多くの選手が)現役を退かなくてはならないのはつらいこと。40歳を超えても現役でなければ分からないことがたくさんあると思う。今その哲学を持っていないが、この先も野球を続けていき、僕自身の中から生まれることを期待している」
――ナ・リーグでのプレー、気候の違いなど新しい環境に飛び込む思いは。
「それほど重い決断ではなかった。これは行くべきだと思った。こうした挑戦も今でなければできないと思った。また、そうしなければ哲学も生まれないだろう」
――現役最年長野手として開幕を迎える心境は。
「野球選手として嫌な年齢にきたという印象はある。ただ、25歳であっても(老けて)45歳にみえる人は世の中にはたくさんいる。できる限りその反対に(若く)みられるよう、ちょっとずつ前に進みたい」
――4番目の外野手という位置づけは。
「想定内のこと。米国では40歳を超えた野手にポジションを与えることはなく、その時点でカットされる傾向がある。4番目ということは何の問題もない。5番目ではつらいが、3番目を望む自分はどうかなあと思う」
――マーリンズというチームの印象は。
「マイアミと聞いて『オー』という感じ。(自分にとって)一番遠い場所で情報も最も少ないチームの一つだった。ただ実際に顔を合わせて話を聞いていくと、(契約合意に)マイナスと思える要素がすべてクリアされた。細かなことだが、『51』の背番号。また、専用のウエートトレーニングのマシンを球場に置けるスペースがあるかなどの問題がクリアされた。この話に『ノー』という理由がなくなった」
――今年の自分のプレーをイメージすると。
「プレーしていく中で、このユニホームを見てくれている人にもしっくりくる状態になればいい。なるべくそれは早いほうがいい」