CCCが手がける本屋が作る街 「湘南T-SITE」探訪
2014年12月12日、神奈川県藤沢市に「湘南T-SITE」がオープンした。T-SITEは「TSUTAYA」を展開するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が手がける複合商業施設で、2011年に開業した「代官山T-SITE」に続いて2カ所目となる。「本屋が作る街」をコンセプトに、書店を軸にさまざまなカルチャーやライフスタイルを発信しているのが特徴だ。
代官山T-SITEは同社が「プレミアエイジ」と呼ぶ団塊世代前後をターゲットとしていたのに対し、湘南T-SITEは湘南エリアへの流入が増えている30~40代ファミリーに照準を定めた。「藤沢市の人口は毎年約3000~4000人ずつ増えており、最も多いのが0~4歳の子供をもつ35~39歳のファミリー。転入の理由を聞いたところ、『自然と海のライフスタイル』が65%を占めた」(CCC)という。
同施設は藤沢市とパートナー企業が進める街づくりプロジェクト「FujisawaSST(サスティナブル・スマートタウン)」内にあり、約1000世帯が住む予定。まさに「本屋が作る街」となるわけだ。
三越伊勢丹のコスメショップから電チャリ専門店まで、個性派テナント集結
湘南T-SITEは「エンタテインメント」「暮らし(フード/ライフ)」「ファミリー」と異なるテーマで分けられた3棟で構成されており、「蔦屋書店」を核に30の専門店が出店。
アッシュコンセプトが手がけるデザイン雑貨ショップ「KONCENT(コンセント)」や三越伊勢丹のコスメショップ「イセタン ミラー」のほか、島根・石見銀山発のライフスタイルストアや電動アシスト自転車専門店など、ほかの商業施設では見られない個性的なショップが並ぶ。
さらに代官山T-SITEと大きく異なるのは、書店の棚と専門店がシームレスに接続されていること。代官山では書店と専門店が独立した印象だったが、湘南では「旅」「暮らし」「自転車」をテーマにした書棚の横にそれぞれ旅グッズや日用雑貨、自転車の専門店があるといった具合だ。
すかいらーくの「次世代ファミレス」とは…
飲食関連も、東京のスローフードイタリアンレストランや、人気フレンチレストランの総菜店、新潟の「八海山」が手がける米・麹(こうじ)・発酵をテーマにしたショップなど個性的な専門店がそろう。
なかでも注目は、すかいらーくの次世代ファミレス「THANKS ON THE TABLE(サンクス オン ザ テーブル)」。三浦野菜や相模湾の魚など地元の食材をメインに使い、セントラルキッチンを使わずに店内で調理する。もちろん、入店を知らせるセンサーやスタッフを呼ぶブザーはない。「次の時代のファミリーレストランを模索すべく、原点に返った」(すかいらーく)。
朝食はパンケーキやグラノーラ、ランチは相模湾の白身魚を使ったフリット、夜は神奈川県産やまゆり牛のステーキなど、既存のファミレスとは一線を画す料理を提供。客単価はランチが1500~1700円、ディナーは2500円程度を想定している。欧米の邸宅のような落ち着いた空間なので、カフェ利用でもゆったりとくつろげそうだ。
(日経トレンディネット 山下奉仁)
[日経トレンディネット 2014年12月12日付の記事を基に再構成]
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