55年前の教訓生かせず 大島町、58年にも台風で甚大被害
台風26号で多くの死者が出た東京都大島町の元町地区は、1958年にも台風による土砂災害で犠牲者を出していた。今回の台風による甚大な被害は、55年前の教訓を生かすことはできなかったともいえる。
同町は86年の三原山噴火を契機に、火山灰の流出を防ぐ砂防ダムなどの建設を進め、災害対策に力を入れてきた。
58年に発生した狩野川台風では24時間で400ミリを超える雨に見舞われた。当時、沢の氾濫や土砂で元町地区の104棟が全半壊し、死者と行方不明者各1人を出した。今回の台風による降水量は、これを上回る約800ミリを記録した。
しかし、町は避難勧告や指示を出さず、町長と副町長は台風が接近している最中に、町外へ出張していた。
被災現場近くに住み、狩野川台風も経験した60歳代の女性は「水はけのいい火山灰の土地に暮らす大島の人は基本的に水害を想定していない」と説明。その上で「55年前のことであり、教訓を体験的に生かすのは難しかったかもしれない」と話していた。〔共同〕