政府、中国の防空識別圏設定に厳重抗議
「不測の事態招く」
日本政府は中国が東シナ海に沖縄県の尖閣諸島上空を含む防空識別圏を設定したことを受け、警戒・監視を強める。外務省は23日、伊原純一アジア大洋州局長が中国の韓志強駐日公使に電話で厳重抗議した。防衛省は尖閣付近に近づいた中国機への緊急発進(スクランブル)などの対応を続ける構えで、尖閣上空で日中の緊張関係が一層進む可能性がある。
伊原氏は韓氏に「我が国固有の領土である尖閣諸島の領空を含むもので全く受け入れられない」と伝えたうえで「尖閣を巡る状況を一方的にエスカレートさせる。現場空域で不測の事態を招きかねない非常に危険なものだ」と厳しく批判。韓氏は中国の従来の立場を主張したうえで「本国に報告する」と答えた。
政府は23日、内閣官房、外務、防衛両省など関係省庁の局長級会合を開き情報収集を急いだ。防衛省内でも小野寺五典防衛相、岩崎茂統合幕僚長ら幹部が対応を協議。幹部の1人は同日、「緊迫感が高まる可能性はある」と語った。
航空自衛隊は日本が設定した防空識別圏に入ってきた他国の航空機が領空に侵入しないように戦闘機を緊急発進して対応している。中国が自らの主張に沿って防空識別圏を設定したため、日中間で尖閣など重なり合う地域ができることになる。防衛省は「従来通り対応する」(幹部)という立場で臨むが、尖閣などで中国機と遭遇する回数が増える懸念もある。
今年の4~9月に航空自衛隊機がスクランブルした回数の最多は中国機向けで、前年の同じ時期と比べて約2倍に上る。今月16、17両日には中国のTU154情報収集機が2日連続で尖閣付近を飛行し、空自が緊急発進して対応した。