首相靖国参拝、米国務省も「失望」表明
【ワシントン=吉野直也】米ホワイトハウスは26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝について声明などを一切、発表せず、静観する姿勢を保った。一方、国外の米大使館を統括する国務省はサキ報道官が夕方以降に「失望」を表明した在日米大使館と同様の内容の声明を出し、足並みをそろえた。
「在日米大使館の声明をみてほしい」。米ホワイトハウスの担当者は26日、首相の靖国参拝に関する声明を出すかどうかの問い合わせにこう答えた。仮に同じ内容でも複数の機関が声明を出すことはある。中国が東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設けた際はホワイトハウス、国務省、国防総省が声明で一斉に批判した。
ホワイトハウスが首相の参拝について反応しなかった背景には、問題をこれ以上大きくしたくないとの意向がにじむ。在日米大使館や国務省の声明により、首相の参拝への米政府の不快感は示した。ホワイトハウスがこれに追随すれば中韓両国側の立場に一段と寄ることになる。結果的に日本と中韓両国の対立をあおりかねない。
首相の言動について在日米大使館が声明で「失望」と断じたことには批判もある。アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで、非難すべきではない」と指摘した。