原子力利用、組織廃止せず 有識者会議
内閣府原子力委員会のあり方を見直す政府の有識者会議(座長・森田朗学習院大学教授)は21日の会合で、見直し後の組織を合議体の委員会とし、内閣府に設置することでおおむね一致した。原子力利用を担う省庁横断の組織は廃止しない。前政権時代の原子力行政担当相のように担当閣僚を明示的に設置する案も大筋で了承。決定事項を内閣の方針に反映させる。
有識者会議は12月に最終報告書をまとめる。政府は来年の通常国会での原子力委員会設置法改正案の提出を目指す。
同日示した論点整理の素案では、見直し後の原子力委または後継組織に自発的な活動を求めた。現行同様に国家行政組織法8条に基づく審議会相当の機関とするが、原子力規制委員会のような独立性の高い3条委員会に近い機関を検討する。
組織の決定を実現するため、関係省庁などに対する報告徴収や勧告権行使の必要性も指摘した。事務局については電力会社や原子力機器メーカーを含め利害関係者からの出向を認めない。
原子力委を巡っては昨年、原子力関係者だけを集めた非公式会合に批判が集中し、前政権時代から見直し作業を続けている。現政権の有識者会議は必要な機能として平和利用担保や放射性廃棄物処分を挙げた一方、原子力政策大綱の廃止で一致している。