福島原発の汚染水漏れ「レベル3」 規制委再評価案
IAEAに照会へ
東京電力福島第1原子力発電所の貯蔵タンクから300トンの汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は21日、「レベル1(逸脱)」と暫定評価していた国際原子力事象評価尺度(INES)について、「レベル3(重大な異常事象)」に相当するとの再評価案を公表した。ただ、事故後2年以上たって起きたトラブルを通常の原発事故と同じように扱えるか不明なため、国際原子力機関(IAEA)に照会することにした。当面は「レベル1」の暫定評価のままとなる。
規制委は今回、漏れた放射性物質の量を、モリブデン換算で数千テラ(1テラは1兆)ベクレル程度と推定。事故の潜在的影響なども考慮すると、8段階のうち上から5番目にあたるレベル3に相当すると評価し直した。
一方、21日の規制委の定例会合では、原発事故後に作った応急施設でのトラブルを、通常の原発と同等の基準で評価できるかとの意見が出た。規制委はIAEAに今回の汚染水漏れの経緯など詳細を通報し、現在の尺度で評価していいかどうかの意見を聞く。IAEAの回答を踏まえて、最終的に「レベル3」に引き上げるかを判断する。
規制委は14日に福島第1原発の廃炉に向けた実施計画を認可、同原発は特定原子力施設になった。事故後、免れてきたトラブルなどの報告義務が東電に発生、国際評価尺度に基づく評価が再開した。今回の汚染水漏れが初の評価対象となった。
会合では更田豊志委員が「12時間未満でプール一杯分の水が漏れたというのはおかしい。長時間漏洩が続いていたと考えざるをえない」と指摘。また東電の放射線量の公表のあり方について、田中俊一委員長は「国民に対する情報発信として極めて不適切だ」と批判した。
規制委は21日、海洋や水産物への汚染水の影響を調べる「海洋モニタリング検討会」を設置することも決めた。科学的な調査データを公表することで、国際社会の誤解や風評被害を防ぐ。
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