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鷹匠は女子大生 ハタチへ、羽ばたき強めて

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佐賀県武雄市の石橋美里さん、19歳。佐賀女子短期大学のこども学科に通う彼女が持つ、意外なもうひとつの顔、それは鷹匠(たかじょう)だ。3月に千葉県で開かれた競技大会「フライトフェスタ」ではハヤブサを操る部門で女性初、最年少優勝を飾るほどの腕前の持ち主。"女子高生鷹匠"だった16歳の時に取材してからほぼ3年がたった。鳥との生活を通して自分と向き合い、大人まで一歩手前の今を一生懸命に生きる彼女の姿を再び追った。

週末、鷹匠に変身

普段は佐賀市内の短大に通う石橋美里さん。週末になると、タカを自在に操る鷹匠に「変身」する。11月の日曜日、佐賀県の吉野ケ里歴史公園。「ピッ」という小気味よい笛の音に合わせ、建物の上からタカが舞い降りる。ぐんぐんスピードを上げたかと思うと、急ブレーキをかけ彼女の左腕にしっかりとつかまった。地上には眼光鋭いミミズク。「名前は"とろろ"っていうの。どこを触っても平気だよ」。美里さんの呼びかけに、子どもたちは恐る恐る手を伸ばす。「意外とかわいい!」。"とろろ"は、たちまちもみくちゃになった。

各地のイベントに引っ張りだこの美里さん。最近は小中学校の特別授業も頼まれるようになった。豪快なフライト実演で子どもたちの興奮が高まったころ、タカの体の構造や飼育法、そして鳥と暮らすなかで実感した「命」についての話を、やさしく語りかけていく。

★「鷹匠」とは  古くは公家や武家に仕え、タカを飼育・訓練してタカ狩りに従事した人を指し、現在も宮内庁に役職が残る。一般には、流派や団体がそれぞれ認定していて統一した基準はない。狩猟期間にタカ狩りをする人もいるが、飼いならすだけの人も多い。厚生労働省によると猛きん類(タカ目・フクロウ目)の輸入総数は、年間1000羽あまり。

「強く、はかない命。それって美しいと思う」

幼いころから動物が好きで、イヌやネコはもちろんモモンガやタツノオトシゴも飼った。小学2年生の時、ペットショップで見つけたハヤブサに「一目ぼれ」。初めはエサのヒヨコがかわいそうで触ることもできなかった。でもそれではハヤブサが死んでしまう。「命って、何なんだろう」。深く考えると、1つの考えにたどり着いた。「私もたくさんの命をいただいて生きている。ヒヨコも、必要とされている命なんだ」。すると、感謝の気持ちがわいてきた。エサを与える時はいつも心の中で「ありがとう」とつぶやいている――。生と死が身近にあるからこそ実感できた、命の連鎖。「生きものの命は強いけど、はかない。それって、ストレートに美しいと思うんです」。

「大切なこと 私が伝えなきゃ」

ある日、ホームセンターで売られていたカブトムシが動かないのを見て「お母さん、電池入ってないよ」と真顔で叫ぶ子どもを見たという。「大丈夫かなっていうか、恐怖すら覚えたんです。人生の半分以上を動物と過ごしている私がやらなくちゃ、先生が教えられないことを教えなきゃと思うようになりました」。短大のこども学科に通うのは、教師になりたいからではない。教える技術を学び、子どもたちに命のはかなさ、大切さ、そして美しさをしっかりと伝えたいからだ。

パワーアップした、迷惑カラスの"排除"

家の畑でタカを飛ばすとカラスがいなくなることに気付き、小学生の時から害鳥排除の活動を続けている。「捕まえて殺すのではなく、住んでいた山に帰してあげるだけ。だから駆除じゃなくて排除なんです」。効果は口コミで広がり、佐賀県や武雄市など自治体からも声がかかるように。昨年は武雄市だけで1万3千羽を追い払った。初めはハリスホークのみだったが、現在はスピードの速いオオタカ、急降下できるハヤブサ、夜目の利くミミズクなど計8羽を現場に応じて使い分ける。忌避剤メーカーと共同で鳥害対策の確立にも取り組んできた。猛きん類を飛ばして逃げ場所を特定し、効果的に忌避剤を置くことができるようになったという。

技を磨くにつれ、獣医になりたいという高校生の時の夢も変化した。すでに技術が確立された治療法や薬の開発を学ぶより、新しい分野である害鳥排除の研究に時間を使いたいと考えるようになったからだ。

「成鳥」になる前に

「あと1年。もうそんなに時間がない」と活動のペースを速める美里さん。20歳を意識するのには、理由がある。「ハタチを鳥に例えると、成鳥になるということ。幼鳥から若鳥まではいろんなことを吸収するのに、それ以降はほとんど変わらない。だから今のうちにできることをやっておきたくて」。卒業後すぐに世界レベルの訓練法や進んだ考え方を会得するため、英国に渡る。さらに鳥小屋を建てて自らふ化させ、誕生と同時に高度な訓練を始める、という2つのプランの準備を進めている。「うまくいけば自分が親鳥になったのと同じ。関係が全然違ってくる」と瞳を輝かせる。

楽しいし、癒やされる。そして何より考え方をポジティブにできる――生きものと触れあうことの魅力をこう話していた美里さん。どこまでも前向きな姿勢のわけが、分かった気がした。

(写真部 松本勇)


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