規制委、老朽原発の運転延長制度を了承 特別点検求める
原子力規制委員会は12日、原子力発電所の運転期間を原則40年とし、条件付きで最大20年の延長を認める制度を正式に了承した。運転延長の審査を受ける際に、通常の定期検査よりも厳しい「特別点検」の実施を電力会社に求める。実際に延長の認可を受けるには、新規制基準に基づく過酷事故対策なども必要になるため、老朽原発には高いハードルになる。
原発の運転を原則40年に制限する制度は7月の新規制基準と同時に導入される。規制委は4月に「特別点検」の導入を公表していたが、パブリックコメント(意見公募)の結果も踏まえ、12日の会合ではより詳細な点検項目を示した。
原発の老朽化の状態を詳しく把握するため、圧力容器の鋼板の超音波検査などを求めている。また原子炉建屋やタービン建屋などコンクリート製の構造物ではサンプルをとり、強度や遮蔽能力など5項目の検査を実施する必要がある。
運転開始から30年を超える原発は国内に17基。電力会社が40年を超えて運転継続を希望する場合は、まず特別点検を実施。運転開始から40年を迎える1年前までに規制委に延長を申請し、認可を受ける必要がある。制度の導入時点で運転開始から37年を超える7基には移行措置として3年間の猶予期間を認める。
運転延長には特別点検の実施だけでなく新規制基準に基づく災害・テロ対策も求められる。老朽原発では、電源ケーブルを燃えにくいタイプに取り換えるなどで巨額の投資が必要になる。コスト的に見合わないとして、運転延長を断念する原発も出てきそうだ。