福島第1の凍土壁、運転開始は4月以降にずれ込み
東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策で、地下水の流出入を止めるための「凍土壁」の運転開始が4月以降になる見通しだ。政府と東電は運転開始の目標を3月末としていたが、工事の遅れで先延ばしする。タンクにためた汚染水の浄化を完了する目標も「3月末」から最大で1年程度延ばす。対策の遅れに地元や与野党から批判の声が上がっている。
経済産業省幹部は5日、凍土壁が運転開始する時期について「3月中は難しい」との見通しを示した。凍土壁は建屋のまわりに冷却剤が流れる配管を埋め、まわりの土を凍らせて地下水の流出入を防ぐ対策。政府は国費320億円を投入した。
福島第1では1月に作業員が死亡する労災事故が起きた影響などで、工事が遅れている。運転開始は最大で数カ月先になるとの見方もある。
経産省はタンクにためた全汚染水の放射線濃度を十分に下げる浄化計画の完了時期も、当初目標の3月末から2016年5月まで延びる可能性があるとしている。
福島第1が立地する楢葉町の松本幸英町長は同日、宮沢洋一経産相と会談し、一連の事態を受けて東電への指導を徹底することを要望した。宮沢氏は「課題を一つ一つ前に進めていくことが重要だ。経産省としても最大限の対応を行う」と応じた。
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