「はだしのゲン」アラビア語版出版 カイロ大教授が翻訳
【カイロ=共同】原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」のアラビア語版がエジプトで出版され、首都カイロで23日、訳者のカイロ大日本語・日本文学科のマーヒル・シリビーニー教授(56)による講演とサイン会が行われた。
教授は1987年から92年まで広島大大学院に留学。日本の小説などのほか被爆者体験記のアラビア語訳を既に出版している。「はだしのゲン」の翻訳構想も長く温め、国際交流基金の助成により今年1月の出版にこぎ着けた。
教授は翻訳を手掛けた理由について「本で表現できなくても(漫画の)絵ならよく分かることがある。戦争が絶えないアラブに、経済だけでなく平和の面でも日本から学ぶことが多いことを知ってほしい」と語った。
今回出版されたのは全10巻のうち第1巻だけで、2千部。教授は、今後環境が整えば「全巻を翻訳したい」という。国際交流基金によると、「はだしのゲン」が翻訳されたのはこれが22言語目。