中国、大気汚染対策に800億円拠出 北部が対象
【北京=山田周平】中国財政省は14日、北京市など微小粒子状物質「PM2.5」による大気汚染が激しい北部を対象に、対策費として50億元(約800億円)を拠出する方針を明らかにした。中国政府は9月、2017年までの総合的な大気汚染対策を公表したが、資金の裏付けを明示するのは初めて。大気汚染は市民が共産党・政府への不満を抱く一因となっている。
北京のほか天津市、河北省、内モンゴル自治区、山西省、山東省を対象とする。これらの地方政府は個別にPM2.5などの対策を策定している。中央政府は13年度が終わった時点で実施状況を確かめ、成果を上げた地方を優先して資金支援する。
財政省は河北を重点的に支援する意向も示した。河北にはPM2.5の発生源である石炭を大量に消費する火力発電所や製鉄所が集中。8月の主要都市の汚染状況では、河北の7市がワースト10に入り、隣接する首都・北京の汚染が長引く理由の一つとなっている。
17年までの大気汚染対策にかかる費用について、国営新華社は総額1兆7500億元との推計を報じ、北京市政府は2000億~3000億元を投資すると表明。財政省が示した50億元は13年度に限った金額だが、中央による明示は初めてだ。
今年1、2月に記録的な濃度に達した中国のPM2.5汚染は春以降に改善。しかし、北京市では今月6日、市街地の全観測地点で汚染レベルが6段階で最悪の「深刻な汚染」を記録した。石炭による暖房が再び始まる11月を前に、市民の関心が高まっている。