大飯原発の過酷事故対策で関電に注文 規制委が評価会合
原子力規制委員会は2日、国内で唯一稼働中の関西電力の大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の安全性を確認する評価会合を開いた。関電側は炉心溶融などにつながるシビアアクシデント(過酷事故)が発生した場合の想定シナリオや対応手順などを説明。ただ規制委側は関電が示したシナリオに対し、より厳しい事態も想定するよう注文を出した。
7月に施行される原発の新規制基準は再稼働を目指す原発に過酷事故対策を義務づける。稼働中の大飯原発に新基準は当面適用されないが、規制委は運転継続を認めるにあたって新基準に基づく安全確認を進めている。
関電は原発が全交流電源を失い、1次冷却水が漏れるという事故のシナリオを中心に対策を説明。非常用発電装置や、6月末までに配備予定の注水ポンプで事故対応にあたる流れを説明した。
関電の想定に規制委の事務局である原子力規制庁からは注文が付いた。関電が示した資料は同原発3号機が全交流電源を失い、配管の大規模な損傷が起こった場合でも、隣接する4号機は「異常なし(外部電源も使用可能)」と想定。これに規制庁側は「受け入れられない。全面的に見直してもらいたい」と強く再考を求めた。
規制委は新規制基準を大飯原発には当面適用せず、安全性に重大な問題がなければ9月の定期検査入りまで運転継続を認める姿勢を示していた。ただ4月から始まった安全性の事前確認では、より大きな地震の発生を想定するよう関電に求めるなど、規制委からの厳しい注文が相次ぐ。仮に重大な問題が見つかれば、規制委は大飯原発の運転停止を求める可能性もあるとしている。
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