廃家電の15%、中国などに不正輸出か 11年度調査
家電リサイクル法で回収が義務付けられているエアコンなど4品目のうち、2011年度に廃棄された全体の15%に当たる362万台が中国などに不正輸出された可能性が高いことが17日、国の調査で分かった。環境省は金属の価格高騰を背景に、廃家電に含まれる金属を狙って需要が大きい中国などに流れているとみている。
環境省と経済産業省は20日に開かれる有識者会議で報告し、不正への取り締まり強化や制度見直しの検討を始める。
環境省によると、家電リサイクル法の対象となるエアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫の4品目で11年度に廃棄された2407万台のうち、法律に基づき適正に回収されたのは1957万台にとどまる。
このほかに、362万台が海外に不正輸出されたと推計され、残りは不正処理されるなどした疑いがあるという。
中でも、アルミニウムや銅を多く含むエアコンは前年度と比べて8万台増の77万台が不正輸出されたとみられる。廃棄されたエアコン全体の23%を占めている。
環境省によると、不正輸出の大半は中国向けとみられる。中国では、廃家電から金属を取り出すために野焼きが繰り返され、ダイオキシンなどによる環境汚染の発生が確認されているという。
両省はこうした不正の実態を重くみており、有識者会議で消費者が費用を負担する仕組みや取り締まり対策などを議論。法改正も視野に制度見直しを検討する。