ES細胞から若年期がん作製 成育医療センターなど
国立成育医療研究センターと慶応義塾大の研究グループは、受精卵をもとにつくる万能細胞の胚性幹細胞(ES細胞)から、若年期にできるがんの一種「胚細胞腫瘍」をつくることに、マウスの実験で成功した。発がん性に関わるたんぱく質も突き止めた。
がんのメカニズム解明や治療法の開発につながる成果。研究論文は15日、米科学誌プロスワン(電子版)に発表した。
胚細胞腫瘍は精巣や卵巣にできるが、詳しい原因は解明されていない。
研究グループは「βカテニン」というたんぱく質に着目。このたんぱく質を持たない受精卵からES細胞を作製し、マウスに移植したところ、悪性の胚細胞腫瘍ができた。
βカテニンをなくしたES細胞は通常のES細胞と異なり、さまざまな細胞に変化できる万能性を失っていた。研究グループはβカテニンにES細胞の分化を制御する役割があるとみている。
研究グループは今回作製に成功した胚細胞腫瘍を、正常な細胞ががん細胞になる仕組みの解明や、新しい抗がん剤の開発に役立てる考えだ。