海際の井戸でも高濃度汚染水 福島第1原発
東京電力福島第1原子力発電所の海側にある観測用の井戸の水から高濃度の放射性物質が検出された問題で、東電は29日、地中の拡散状況を調べるためさらに海側に掘った井戸で、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり3千ベクレルの濃度で検出されたと発表した。東電は含まれている核種の特定を急ぐ。
高濃度汚染水が地下水に混ざって海際まで達していることが裏付けられた。原発港湾内では海水中のトリチウムなどの放射性物質濃度が上昇傾向にあり、海に流出している恐れもある。
東電によると、高濃度汚染水が新たに検出されたのは、海まで約6メートルの地点に掘った井戸。28日に水を採取した。1、2号機タービン建屋の海側の観測用井戸(海まで約25メートル)で5月24日に採取された水は1900ベクレルで、今回の濃度は約1.5倍に当たる。
今回採取された水では、放射性セシウムは検出限界値未満だったが、人体により悪影響があるストロンチウムが高濃度で含まれている可能性がある。東電は核種や濃度を詳細に分析するとともに、海洋流出を防ぐため護岸の地盤改良を進め監視を強化する。
東電の担当者は「海水の放射性物質濃度に大きな変動はない。海への流出があるかどうかは判断できない」としている。〔共同〕