日産、自動運転車20年までに発売 試作車公開
【アーバイン(米カリフォルニア州)=杉本貴司】日産自動車は27日、ドライバーが運転操作をしなくても走る「自動運転車」を2020年までに発売すると発表した。公道を走るのに必要な法規制を整備した国から順次売り出す。自動運転車を商品化する方針を表明したのは世界で初めて。「究極の安全技術」とされる自動運転技術の開発競争が加速しそうだ。
日産は27日、電気自動車「リーフ」をベースにした自動運転車の試作車を公開した。音波や電波、光線を使うセンサー類や5つのカメラを搭載。道路の走行レーンや他の車、障害物、信号、標識などを車が感知して内蔵の人工知能で解析、ドライバーがハンドルに触れなくても自動で走行する。アクセルやブレーキも自動で操作する。
実際の商品化では、主要国による自動運転関連の法整備を待つ必要がある。日本の国土交通省は高速道路に限り自動運転を段階的に認める方向で検討中。最終的には同じ車線内で自動と手動の車両が共存する状況を想定している。
アンディ・パーマー副社長は27日、自動運転車の販売に関して「手ごろな価格で発売する」と表明した。具体的な言及は避けたが「標準的な高級車以下にする」と述べ、大衆車並みの価格に設定する意向を示した。複数の自動運転車を発売して早期の普及を図る。
日産は開発を本格化するため、神奈川県横須賀市に自動運転車専用のテストコースを14年度末までに完成させる。市街地の走行に備えて信号や家屋、主要国の道路標識などを備える。こうした本格的な施設は、自動車大手では例がないようだ。
自動運転車を巡っては、米検索最大手のグーグルが公道を使った実験を進めている。17年までの実用化を視野に入れる。独自動車部品大手のコンチネンタル、米IBMと共同開発するという。自動車大手では米ゼネラル・モーターズ(GM)が、走行場所を限定した「半自動運転車」の実用化を目指している。トヨタ自動車も開発中だが「現時点で商品化の考えはない」としている。