精神疾患の医療保護入院、家族ら同意で可能 改正案を閣議決定
政府は19日、精神保健福祉法の改正案を閣議決定した。入院治療が必要なのに精神疾患の患者本人の同意が得られない場合、家族らの同意で「医療保護入院」を可能にする。早期の治療を促し、長期入院する患者を減らすことなどが狙い。今国会で成立させ、来年4月に施行することを目指す。
現行の医療保護入院制度は、妄想や幻聴などがあって病気の自覚がなく、入院に応じない患者を精神保健指定医が診察したうえで、後見人や家族などから「保護者」と定められた人の同意を得て入院させる仕組み。保護者に定められるのは1人だけで、家族の高齢化などで負担が増しているとの指摘も上がっていた。
改正案は、保護者に関する規定を廃止。患者の配偶者や親権者、後見人、扶養義務のある親族のうち、いずれかの人の同意があれば入院できるようにして、早期に治療できるようにする。
退院後に地域での生活を支援するため、訪問看護など医療体制の充実にも取り組む。
厚生労働省によると、精神疾患のある患者は2011年の調査で約320万人。このうち入院患者は約30万人で、1年以上の長期入院は20万人を超えている。