節電定着で原発7基分を抑制 今冬の電力需給、報告書案
経済産業省は23日、今冬の電力の需給見通しの報告書案をまとめた。原子力発電所が1基も稼働しなくても電力供給の余力を示す予備率は全国で安定供給に必要な3%を確保する。節電で原発7基分のピーク電力を抑制できる。一方、原発停止を補う火力発電のフル稼働が電気料金の上昇につながる懸念がある。
経産省の電力需給検証小委員会(委員長・柏木孝夫東京工業大学特命教授)が報告書案を大筋合意した。他地域からの融通に制約がある北海道は今年も数値目標付きの節電が必要とした。北海道以外は数値目標を見送る。政府は月内にも関係閣僚会議で節電対策を決める。
沖縄県を除く9電力地域の節電効果は2010年度比で705万キロワットと見込む。昨冬の節電実績は830万キロワットで、家庭や企業のアンケート結果を踏まえて、実績の85%前後が節電行動として定着すると想定した。電力会社の値上げが相次いでおり、「電気代を抑制するため、昨年以上に節電が積み上がる可能性もある」(松村敏弘東京大学教授)との見方もある。
報告書は「自家発電設備の設置や生産の夜間・休日シフトで、節電はコスト増につながる」と指摘。100万キロワットの原発1基が稼働すると燃料費の削減効果が約900億円になるとの試算も添えた。供給力として風力発電を初めて加えた。天候に左右される発電でも供給力に計算できると示すことで再生可能エネルギーの導入を促す狙いだ。
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