新ドメイン「.tokyo」、五輪で飛躍 14年から登録開始
GMO、初年度まず10万件
2020年の東京五輪開催が決まった。建設などインフラ系や観光産業以外にも、ネットの世界でも東京五輪で注目を集めそうなサービスがある。GMOインターネットグループが展開を予定する新ドメイン「.tokyo」だ。ネット上で東京が取り上げられる機会が増えれば増えるほど、新ドメインのニーズが高まる。五輪開催は世界に飛躍する好機だ。
今秋から有名都市名に拡大
「新ドメインの普及で東京ブランドをより高め、世界へ発信したい」。GMOインターネットの熊谷正寿会長兼社長は力を込める。
ドメインはインターネット上の「住所」にあたるもので、一番最後に表示されるドメインをトップレベルドメインと呼ぶ。「.com」など分野別で22種類、「.jp」のような国地域別で255種類のなかから選択し、ドメインを登録する仕組みだ。世界の登録件数は2億件を突破している。
今年秋からはドメインの対象が有名都市名などにも広がる。そのため東京都が選定した業者がGMOインターネットグループのGMOドメインレジストリだ。ドメインを管理する米ICANNへの申請料は1件あたり約1850万円。五輪の誘致を東京と争ったイスタンブールやマドリードからも申請があった。
「.tokyo」はICANNの審査にこのほど合格、今後はシステムテストなどを経て、14年以降に登録受け付けを始める。まず商標登録されている製品・サービスなどを持つ企業が対象となり、次に一般からの登録を受け付ける。当初設定する登録料は1件あたり数百円程度で、年に1千円弱の更新料が発生する予定。ただ同じ文字列で複数から申請があった場合の登録料は、オークションの落札額で決まるものもある。
数億円で取引されたケースも
「欧米ではドメインの中古販売が、デリバティブ(金融派生商品)の1つとみなされている」とGMOドメインレジストリの安達祐介取締役は指摘する。海外ではアドレスを直接打ち込むケースが多く、ドメイン名の存在意義も大きい。基本的に早いもの勝ちとなるため、人気のあるドメインを先んじて申請し、より高値で転売して利益を得る市場もある。「『.com』の場合は数億円で取引されたドメインもあるほど」(安達取締役)
日本の場合は検索サイトから各社・サービスのサイトに移動するケースが多く、欧米ほどドメインの価値が高いわけではない。それでも「銀座」などの有名な地名、「保険」など広く使われる一般名詞であれば、申請者が増えて値がつり上がることもある。
「.jp」は20年間でのべ約130万件。うち東京からの申請が4割弱を占めるとされる。「『.tokyo』も初年度で10万件は十分に期待できる」と安達取締役。GMOインターネットグループのドメイン関連の売上高は年40億円ほどだが、「.tokyo」のサービスが始まれば、五輪関連のドメインビジネスが一気に花開くかもしれない。
(長縄雄輝)
[日経産業新聞2013年9月10日付]