「米国が中国にハッキング」 元CIA職員が暴露
米国の情報機関が市民の通話記録などをひそかに収集していた問題をメディアに暴露した米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン氏は、米国が2009年以降、中国と香港のコンピューターシステムをハッキングの対象としていることを明らかにした。同氏は今後も香港にとどまり、米政府と争う姿勢を示した。
13日付の香港英字紙、サウス・チャイナ・モーニング・ポストがスノーデン氏に12日に実施した単独インタビューとして伝えた。同紙は本人の希望により、インタビューがどのように行われたかは明らかにできないとしている。
スノーデン氏は、米国家安全保障局(NSA)が世界に6万1000カ所を超えるハッキングの拠点を持ち、多くが香港と中国本土を標的にしているという。香港では香港中文大学や公務員、企業、学生を対象にしているというが、中国の人民解放軍のシステムが対象になったとの証拠はないとしている。
「個別のコンピューターをハッキングしなくて済むよう、巨大なルーターのような、ネットワークの基幹となる部分を攻撃する」と具体的な方法についても明かした。
米国の情報収集活動を暴露したことで、自らの安全については「全く安心できない」と不安な心情も明かした。一方で「香港の司法を信頼しているので、ここにとどまり米国政府と法廷で争う」とも語った。
今後は香港政府が米政府との間で交わしている犯罪人の身柄引き渡し協定の適用が大きな焦点となる。同氏は「米国政府は私を強制送還するよう香港政府を責めている」と信頼できる情報筋から12日に聞いたとしている。
香港政府トップの梁振英(C・Y・リョン)行政長官は訪問先のニューヨークで11日午後(日本時間12日)に開いた記者会見で、米政府からのスノーデン氏引き渡しの打診の有無を含め「個別の案件にはコメントできない」との立場を繰り返した。(香港=川瀬憲司)