メタンハイドレートからのガス採取成功 世界初
政府は12日、愛知・三重県沖の海底にある「メタンハイドレート」からガスの取り出しに成功したと発表した。天然ガス成分を多く含み「燃える氷」とも呼ばれるメタンハイドレートを海底で分解してガスを産出したのは世界で初めて。水深約1000メートルの海底から約300メートル掘り進めたところに分布するメタンハイドレートを減圧して水とガスに分解し回収した。
経済産業省によると、減圧開始から約4時間後の午前9時半ごろにガスの産出を確認した。高圧で存在するメタンハイドレートは圧力を下げることでガスが分離する。経産省の委託を受けた石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)や産業技術総合研究所が作業に当たっている。産出実験は今後2週間続け、商業化に必要な技術や課題を探る。
今回産出に成功したのは渥美半島から志摩半島の沖合。同地域には日本の天然ガス消費量の10年分以上のメタンハイドレートがあると推定されており、政府は1月から試掘準備を進めていた。福島の原子力発電所事故後のエネルギー不足の克服に向けて国産資源の開発に弾みをつける。
12日の閣議後の記者会見で茂木敏充経産相は「(米国の)シェールガスにしても技術的に難しいといわれていたものがこれだけ大規模に生産されるようになった」と指摘。「ひとつひとつ課題を乗り越えてわが国周辺の資源が活用できるようになる日が一日も早く来るようにと思う」と期待を示した。
政府が今月に決める予定の「海洋基本計画」(2013~17年度)にもメタンハイドレートの商業化を盛り込む方針だ。ガスを安価に回収・貯蔵する技術を5年以内に開発し、23年までに採算の合う産業に育てることを狙う。