温暖化で「極端な気象」頻発 IPCCが警告
国際社会に対応促す
【ストックホルム=竹内康雄】国連は27日、世界各国・地域の環境政策の前提となる報告書を6年ぶりに公表した。人為的な要因での温暖化が進んでおり、世界各地で熱波や豪雨、竜巻などの「極端な気象」が頻発していると警告。今世紀末には平均気温が最大4.8度上昇すると予測した。温暖化対策を巡る国際交渉は停滞状態にあり、各国・地域に新たな取り組みを促した。
報告書を公表したのは国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)。パチャウリ議長は記者会見で「気候変動に対応するうえでの確固たる根拠になる」と語った。
報告書は二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスが「直近80万年で前例のない水準」にまで増えていると指摘。95%以上の確率で人間の活動が気候変動を引き起こしたとの分析を示した。そのうえで世界各地での干ばつや豪雨、熱波、竜巻などの頻発は温暖化が原因とみられるとした。
2012年で京都議定書の第1約束期間が終わり、目標達成が義務付けられた国際的な温暖化対策の枠組みは形骸化した。だが、20年以降の新たな枠組みを協議する交渉は進んでいない。中国やインドなどに温暖化ガス削減を迫る先進国と、見返りに資金や技術支援を求める新興・途上国との綱引きが続く。
原子力発電所の活用で温暖化ガスを減らすはずだった日本政府の計画も頓挫。経済産業省と環境省が対立し、20年までの排出削減目標さえ示せずにいる。11月に開かれる第19回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)までに新たな削減目標を立てる計画には黄信号がともる。
IPCCの報告書は気候変動がもたらす危機を訴え、世界各国に対応を促す効果も狙っている。