廃炉引き当て10年延長、経産省 老朽化した原発に対応
経済産業省は23日、電力会社が原子力発電所の廃炉に必要な費用を、原発の運転が終了しても10年間は積み立てられるように会計制度を見直すことを決めた。今は運転が終わると積み立てできなくなるため、廃炉費用の引き当て不足が生じやすい。見直しによって電力会社は廃炉の財源を確保しやすくなり、老朽化した原発を廃炉しやすくなる。
現在は原発が40年以上稼働するという前提で電力会社が廃炉費用を40年で引き当てる仕組み。ただ国が原発の新たな規制基準を作り、稼働が40年未満でも安全を確保できない原発は廃炉を迫られる。経産省は全50原発が今年度中に廃炉となると1.2兆円の引き当て不足が生じると試算しており、引き当て不足が重荷となって廃炉を決断できない恐れがあった。
経産省は制度変更により、引当不足額を最大10年にわたって電気料金に上乗せできるようにする。原発が稼働しなければ引き当てできない仕組みも改め、稼働状況にかかわらず定額を引き当てることも認める。